ご挨拶

梅村 淳

第64回日本定位・機能神経外科学会

会長 梅村 淳

順天堂大学 脳神経外科
運動障害疾患病態研究・治療講座 教授

このたび2025年2月7〜8日に東京浅草で第64回日本定位・機能神経外科学会を開催させていただきます。このような伝統ある学会の会長を拝命し、大変光栄に存じますと共に大きな責任を感じております。順天堂大学脳神経外科としては今回が初めての開催になりますが、過去には第4回(1965年)、第18回(1979年)に順天堂神経学教室の楢林博太郎先生が本学会を開催されていることから順天堂大学としては3回目の開催となります。

実は私はこの領域でのキャリアはまだ20年足らずとあまり長くはありません。2002年に米国ペンシルベニア大学でBaltuch教授から脳深部刺激術(DBS)の手ほどきを受けました。ちょうどまさにDBSが凝固術に代わって世界で急速に普及し始めた頃です。パーキンソン病に対するDBSの劇的な効果に感銘を受け、これをライフワークにしたいと思いました。帰国後は名古屋でDBSを開始し、症例を重ねていたところ、順天堂脳神経内科の服部教授から順天堂へのお誘いを受けました。順天堂はパーキンソン病の臨床・研究における本邦でのトップセンターの一つであることは承知しておりましたので大変光栄に思い2012年に順天堂へ赴任しました。この10年間は多くのパーキンソン病専門の先生方の厳しい目に晒されながらもひたすらDBSを行ってきました。

私が関わるようになったこの20年間だけでも定位・機能脳神経外科領域には目覚ましい進歩があります。DBSの急速な普及に伴うデバイスの進歩、運動障害疾患のみならず精神疾患やてんかん、認知症などその他の疾患に対するDBSの応用、凝固術の復権、集束超音波(FUS)の導入など、常に勉強して新しい知識を吸収し続けていかなければ追いついていけないような状況にあり、そのためにも本学会は非常に重要な役割を担っていると思います。

今回の学会のテーマは“Pearls and Pitfalls”としました。“Pearls”というのはアメリカの臨床現場で使われる言葉で、臨床経験が豊富な医師から得られた貴重な助言やヒントのような意味です。一方、“Pitfalls”はまさにその言葉通りで、あまり派手さの無い定位・機能神経外科手術ではありますが、そこには常に多くのPitfallが潜んでいます。今回の学会では一施設であまり多くの症例を経験できない定位・機能神経外科手術における“Pearls”や“Pitfalls”を会員の先生方で共有し、参加した先生方が、「役に立った」「参考になった」と思えるような学会にしたいと考えています。そのための種々のプログラムを企画中ですので是非とも多くの演題のご応募をよろしくお願いします。

また今回の開催地である浅草は東京でも最も人気の観光スポットの一つでもあり、現在でも江戸の下町風情が残されている街です。十分に余裕を持ってお越しいただき散策なども楽しんでいただければと思います。是非とも多くの先生方の参加を心よりお待ち申し上げます。

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